

「せっかくの尊い信仰心から寄付をするのに、税金がかかるなんて納得いかない……」「信者さんに税負担をかけずに不動産を寄付してもらう解決策はないの?」
前回の【シリーズ2】では、個人から宗教法人へ不動産を寄付すると、もらった側ではなく「寄付した信者様本人」に譲渡所得税がかかってしまう可能性があるという税務上のルールについて解説しました。
最終回となる今回は、税金がかからないケースとこの課税問題を回避するために国が用意している「特例制度」の概要、これまでの連載のまとめについて分かりやすく解説します。
■ なぜ「値下がりした土地」なら税金がかからない?
みなし譲渡による課税は、あくまでも「不動産の値上がり益(含み益)」に対して行われます。
そのため、不動産を手に入れた時よりも、寄付した時の時価の方が安くなっている場合は、譲渡所得税は課税されなかった事例が過去に存在します。
【値下がりによる非課税の例】
バブル期などの地価高騰時に高額で購入した土地を、地価が大きく下落した現在のタイミングで宗教法人へ寄付する場合など。
このように、状況によっては課税されないケースもあります。
しかし、寄付を受ける宗教法人側はそもそも非課税であるため、このルールをよく知らないまま寄付者へ「税金はかからないので大丈夫です」と安易に答えてしまい、後から寄付者に高額な税金の請求書が届いてトラブルに発展するケースも存在します。
こうした事態を防ぎ、値上がりしている不動産でも課税を避けるために用意されているのが、以下の特例制度です。
■ 課税を回避する「非課税の特例制度」とは?
個人から宗教法人のような公益法人等に対して不動産などを寄付した際、一定の要件を満たすことで、寄付者への譲渡所得税を非課税にできる国税庁の制度があります。
租税特別措置法 第40条第1項後段の規定
「公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例」
こちらを利用するためには、寄付する不動産の所在地を管轄する税務署を経由し、「国税庁長官の承認」を得るための厳しい申請手続きが必要になります。
ただし、宗教法人がこの特例制度を導入し、承認申請を行うかどうかは、極めて慎重に検討しなければなりません。*内容が複雑なため、さらに詳しくは宗教者支援協会までお問い合わせください。
■ 【シリーズまとめ】不動産寄付で知っておくべき3つの基本
ここまで3回にわたってお伝えしてきた、宗教法人への不動産寄付における税務の基本をまとめます。
★個人から個人への贈与:財産を受け取った個人(もらった人)に「贈与税」がかかります。
★個人から宗教法人への寄付(贈与):原則、寄付をした個人(あげた人)に、値上がり益に対する「譲渡所得税」がかかります。受け取った宗教法人側は課税されません。
★非課税の特例制度の存在:国税庁の承認を受けることで、寄付者への課税をゼロにする特例制度(租税特別措置法第40条)も存在します。
※値上がり益の算出や、特例の具体的な適用要件などは、個々の状況によって細かく異なり、具体的な税額計算や手続きの判断については、必ず不動産の所在地を管轄する税務署や、税理士などの専門家とご相談が必要。
寄付や不動産に関わる税務は非常に複雑です。ご自身だけで判断せず、まずは専門家へご相談ください。貴法人や檀信徒様にとって最適な選択ができるよう、私たちがしっかりサポートいたします。
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