宗教法人に土地建物を寄附したい場合の基礎知識-個人間贈与と法人寄付の違い-【シリーズ2】

「信者さんからの不動産の寄付は、普通のプレゼント(贈与)と同じように考えていいの?」「なぜ受け取った側ではなく、あげた側に税金がかかるのだろう……」

前回の【シリーズ1】では、宗教法人へ土地や建物を寄付する際に関わってくる「所得税法第59条」と「譲渡所得」の入り口について解説しました。

連載第2回となる今回は、一般的に行われている「個人から個人への贈与」と、今回のような「個人から法人への寄付(贈与)」で、税金の仕組みがどのように異なっているのか、具体例を交えながら分かりやすく比較していきます。

この制度の違いを知ることで、なぜ檀信徒様に税金がかかってしまうのかという理由が明確に見えてきます。

■ 1. 【個人から個人へ】通常の贈与の場合
まずは、一般的な個人同士で財産をプレゼントした場合の課税関係を見てみましょう。この場合、「財産をもらった人(受贈者)」に贈与税の納税義務が発生します。

【具体例】 Aさんは、知人のBさんにお金(1,000万円)を贈与しました。

●お金の流れ:Aさん(あげる人) → Bさん(もらう人)
●税金の負担:財産を受け取った「Bさん」が、贈与税を計算して納める必要があります。

このように、個人間のやり取りであれば「もらった側が税金を払う」という、多くの方がイメージしやすいシンプルなルールになっています。

■ 2. 【個人から法人(宗教法人含む)へ】不動産を寄付した場合
では、個人が宗教法人などの「法人」に対して、土地や建物といった不動産を贈与(寄付・遺贈)した場合はどうなるでしょうか。

ここが今回の最大の落とし穴です。この場合、寄付した時点の「時価」で不動産の売買(譲渡)があったものとみなされ、その不動産を手に入れた時から寄付した時までに値上がりした分の利益(含み益)に対して、所得税(譲渡所得税)が課税されます。

【具体例】 Aさんは、信仰している宗教法人Bに、時価5,000万円相当の土地建物を寄付しました。

●不動産の流れ:Aさん(寄付する人) → 宗教法人B(受け取る法人)
●税金の負担:この不動産が過去に取得した時よりも値上がりしていた場合、その値上がり益に対する譲渡所得税を、なんと寄付をした「Aさん本人」が納めなければなりません。

■ 信心深い行為だからこそ、事前の税務確認を
信者様が、お寺や神社、教会などへ浄財や布施、献金として不動産を寄付(寄進・喜捨)されることは、非常に尊く信心深い行為です。

しかし、税法のルールにおいては、不動産のような「譲渡所得の基因となる資産」を法人に譲る場合、たとえそれが1円もお金を受け取らない「無償の寄付」であったとしても、厳しい課税問題がついて回ります。

せっかくの厚い信仰心から不動産を寄付してくださったにもかかわらず、「受け取った宗教法人側は非課税なのに、寄付した檀信徒様本人に高額な譲渡所得税の請求が届いてしまう」という、非常に心苦しい事態が起こり得るのが現在の税務の規定なのです。

■次回のテーマについて
今回の記事では、個人間贈与との対比を通じて、法人への寄付特有の課税の仕組みを解説しました。

「檀信徒様の善意を無駄にせず、税金の負担をかけずに不動産を寄付してもらう方法はないのだろうか?」

そんな疑問を解決するために設けられているのが、特別な非課税の特例制度です。次回「【シリーズ3】善意の寄付を守る!譲渡所得税が非課税になる特例制度とは?」にて、その回避策を詳しくご紹介します。

寄付や不動産に関わる税務は非常に複雑です。ご自身だけで判断せず、まずは専門家へご相談ください。貴法人や檀信徒様にとって最適な選択ができるよう、私たちがしっかりサポートいたします。

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