

前回の【その12】では、金融機関のタイプによる手続きの違いや、ネット銀行・電子マネーなどの「デジタル遺品」を処理する際の実務的な注意点について解説いたしました。
連載第13回となる今回は、特にトラブルになりやすい「相続税申告や遺産分割協議で必要となる預貯金の資料収集(残高証明書・取引明細・既経過利息)」のポイントと注意点について詳しく解説いたします!
■ 1. なぜ「通帳の残高」だけでは足りないのか?
「口座が判明して通帳も見つかったから、最後のページに記載されている残高で手続きを進めればいい」と考えていませんか?
実は、相続税の申告や遺産分割協議において、通帳の見た目の残高だけでは不十分なケースが非常に多いのです。
正確な相続財産額を確定させ、税務署や他の相続人に対して客観的な証明(裏付け)を行うためには、金融機関が正式に発行する公的な資料を取得する必要があります。
■ 2. 実務で大切な「3つの重要資料」
相続実務(特に相続税申告や正確な遺産調査)について、以下の3つの資料は、預貯金の調査・確認において重要な資料です。
① 死亡日(相続開始日)時点の「残高証明書」
通帳の記帳漏れや記帳後の入出金によるズレを防ぐため、被相続人が亡くなった日(死亡日)時点での正確な残高を証明する書類です。
② 「取引明細(必要な期間)」
亡くなる直前のまとまった出金や、一定期間内の生前贈与・家族間のお金のやり取りを確認するために取得します。税務調査等においても確認されることがある重要な資料です。
③ 「既経過利息(定期預金等)」の確認資料
定期預金などがある場合、「仮に死亡日に解約した場合、その日までにいくらの利息がついているか」(既経過利息)を確認するための資料です。*相続税の評価に使用
★税理士等と連携する重要性★
必要範囲は事案により変わってしまうため、自己判断で不十分な資料を集めてしまうと、二度手間になったり、税務調査で指摘を受けたりするリスクがあります。税理士などと連携しながら、必要な範囲を適切に見極めて取得を進めることが大切です。
■ これまでの連載まとめ
・【その1】 ネット銀行時代の口座見落としリスクと放置の危険性
・【その2】 照会で分かるのは「口座の有無」までで、残高確認は各行対応が必要なこと
・【その3】 個人番号紐付け口座に限られるため過信は禁物なこと
・【その4】 返金不可リスクへの対策、口座凍結への注意点と2026年改正ポイント
・【その5】 単独申請のルールと包括受遺者が申し込む際の要件
・【その6】 必要書類の整理と記載ミス防止策、法定相続情報一覧図の利便性
・【その7】 「該当口座なし」の本当の意味と結果受領後の個別手続き
・【その8】 自宅の手がかり調査(アナログ編)
・【その9】 デジタル資産の調査と勝手なログインの禁止事項
・【その10】 株式・投資信託をまとめて調べる「ほふり」の活用法と手数料改定
・【その11】 口座判明後の具体的な流れと注意点(凍結・仮払い・残高証明)
・【その12】 金融機関タイプ別の進め方とデジタル遺品の落とし穴
・【その13】 相続税の観点:資料の揃え方と注意点(残高証明・明細・既経過利息)
次回【その14】でも、引き続き相続手続きに役立つ実践的な情報をお届けしてまいります。
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