

前回の【その13】では、相続税申告や遺産分割協議で重要となる預貯金資料(残高証明書・取引明細・既経過利息)の揃え方や、税理士等と連携する重要性について解説いたしました。
連載第14回となる今回は、口座照会後の実務をスムーズに進めるための「司法書士に頼めること・任せるメリット」と「他の専門家(弁護士等)との役割の違い」について詳しく解説いたします!
■1. 初動の最大の壁「戸籍収集と相続関係の確定」を任せる
相続手続きを始めて最初に立ちはだかる大きな壁が、「被相続人(故人)の出生から死亡までのすべての戸籍の収集」と「相続人の確定」です。
戸籍集めには非常に多くの労力と時間を要します。司法書士にこの初期作業を依頼することで、正確に相続人を確定できます。ここが決まると、その後の預金手続きも不動産登記も一気に前へと進みますので初動の負担軽減としてとても大事な役割を担ってくれます。
■2. 「預金手続き」と「相続登記」を一体で進める大きなメリット
遺産の中に「預貯金」と「不動産(自宅や土地)」の両方がある場合、別々に動かすのではなく、設計を一本化することが成功のカギとなります。
●メリット①:同じ書類を活用でき、手戻り・二度手間が減る
預金の手続きで用意した「戸籍一式」や「協議書」は、不動産の「相続登記」でもそのまま使用します。原本還付等を計算に入れて段取りを組むことで、無駄な取得費用や請求の手間を大幅に削減できます。
●メリット②:全体のスケジュールが大幅に短縮できる
「まず預金解約を終わらせてから、次に登記を考える」といった順次進行ではなく、司法書士が全体を網羅して同時並行で進めることで、手戻りなく最短ルートで遺産整理を完了できます。
■3. 他の専門家との違い
相続の相談先としては、弁護士などの遺産整理業務もありますが、それぞれ得意とする役割が異なります。
●相談先:特徴と適しているケース
・弁護士:【紛争・揉め事がある場合】相続人間で争いがあり、交渉や裁判(調停)が必要な場合は弁護士の関与が必要となります。
・司法書士:【手続きの交通整理と実行が中心の場合】親族間に大きな争いがなく、「戸籍集め・名義変更・預金解約・登記の手続きを正確かつスムーズに進めたい」ケースに最も適しています。
※司法書士の費用は事務所や具体的な手続き内容によって異なります。
■ これまでの連載まとめ
・【その1】 ネット銀行時代の口座見落としリスクと放置の危険性
・【その2】 照会で分かるのは「口座の有無」までで、残高確認は各行対応が必要なこと
・【その3】 個人番号紐付け口座に限られるため過信は禁物なこと
・【その4】 返金不可リスクへの対策、口座凍結への注意点と2026年改正ポイント
・【その5】 単独申請のルールと包括受遺者が申し込む際の要件
・【その6】 必要書類の整理と記載ミス防止策、法定相続情報一覧図の利便性
・【その7】 「該当口座なし」の本当の意味と結果受領後の個別手続き
・【その8】 自宅の手がかり調査(アナログ編)
・【その9】 デジタル資産の調査と勝手なログインの禁止事項
・【その10】 株式・投資信託をまとめて調べる「ほふり」の活用法と手数料改定
・【その11】 口座判明後の具体的な流れと注意点(凍結・仮払い・残高証明)
・【その12】 金融機関タイプ別の進め方とデジタル遺品の落とし穴
・【具体編・その13】 相続税の観点:資料の揃え方と注意点(残高証明・明細・既経過利息)
・【具体編・その14】 司法書士に依頼できること(戸籍収集・預金手続・登記との連携)
次回【その15】でも、引き続き相続手続きに役立つ実践的な情報をお届けしてまいります。
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