相続時口座照会制度の利用手順と申請者の条件【相続時口座照会その5】

前回の【その4】では、申込み時の返金不可リスクや、口座凍結への注意点、2026年最新の規定改正ポイントについて解説いたしました。

連載第5回となる今回は、実際にこの制度を利用する際の手続きとして「誰が申請できるのか(申請資格)」と、実務上で特に注意すべき「申請時の重要ルール」について深く掘り下げて解説します。

■ 1. 制度を利用できる「申請者」の範囲と条件
相続時口座照会制度を申し込めるのは、国内に通知先を持つ相続人(包括受遺者を含む)またはその代理人等に限られます。

相続人ご本人が直接手続きを行うことはもちろん、遺産整理業務の一環として司法書士や行政書士などの専門家に代理で申し込んでもらうことも可能です。

■ 2. 実務上で必ず押さえておきたい「3つの申請ルール」
手続きを進めるにあたり、現場で混乱しやすい実務的なポイントが3つあります。

●【ルール①】他の共同相続人の「同意」は一切不要
「相続人全員の同意やハンコが必要になるのでは?」と思われるかもしれませんが、他の共同相続人の同意は不要です。相続人のうち1人が単独で申し込むことができます。 相続人間で連絡が取りにくい場合や、まずは個人で迅速に調査を進めたい場合でも利用しやすい設計となっています。

●【ルール②】複数人での「連名申請」は不可(代表者1名のみ)
例えば「長男と長女の2人で連名で申込み、どちらにも結果を通知してほしい」ということはできません。照会結果を確認したい相続人が複数いる場合でも、申込みは必ず代表者1名が行う必要があります。

●【ルール③】被相続人が複数の場合は「人ごとに個別の申込み」が必要
例えば、ご両親(父・母)が相次いで亡くなり、二人分の口座を調べたいといった場合でも、ひとつの申請でまとめて照会することはできません。被相続人(亡くなった方)1人につき、1回ずつの個別申込み(手数料もそれぞれ必要)となります。

■ 3. 「包括受遺者」として申し込む際の遺言書ルール
遺言によって割合を指定して財産を受け取る人「包括受遺者」も本制度を申し込むことができますが、申請時に遺言書の提出が求められます。

この際、遺言書の種類によって手続きの条件が異なります。

●検認が「不要」な遺言書(そのまま申請可能)
・公正証書遺言
・法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言

●家庭裁判所の「検認済証明書」が「必須」となる遺言書
・通常の自筆証書遺言

自筆証書遺言(法務局保管を除く)で申し込む場合は、あらかじめ家庭裁判所で検認手続きを終えておく必要があるので要注意です。

■ これまでの連載まとめ
・【その1】 ネット銀行時代の口座見落としリスクと放置の危険性
・【その2】 照会で分かるのは「口座の有無」までで、残高確認は各行対応が必要なこと
・【その3】 マイナンバー紐付け口座に限られるため過信は禁物なこと
・【その4】 返金不可リスクへの対策、口座凍結への注意点と2026年改正ポイント
・【その5】 単独申請のルールと包括受遺者が申し込む際の要件

申請資格や実務上の注意点をあらかじめ把握し、スムーズな相続手続きに役立てていきましょう。

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