手元に残るのは?借地権の売却・買取で発生する「税金と費用」の基本ルールその1-借地権の売却解説⑦-

「借地権が高く売れたら、そのぶん税金もたくさんかかるの?」「売却時にはどんな費用を準備しておけばいいのだろう……」

前回の記事では、国税庁の基準をもとにした「借地権の売却価格の計算方法」について詳しく解説しました。

連載第7回となる今回は、実際に売却した際、手元にいくら残るかを左右する「発生する税金や費用」について解説します。

あとから「想定外の出費で困った」ということにならないよう、あらかじめ全体の仕組みを頭に入れておきましょう。

■ 借地権の売却時にかかる主な税金・費用
借地権を買い取ってもらう(売却する)際には、主に以下のような税金や諸費用が発生します。

●譲渡所得税(じょうとしょとくぜい)
●印紙税(いんしぜい)
●譲渡承諾料(じょうとしょうだくりょう)

今回は、この中で「譲渡所得税」の仕組みについて詳しく見ていきましょう。

■ 利益に課税される「譲渡所得税」とは?
借地権を売却したことによって利益(まとまった収入)が出た場合、その利益に対して「譲渡所得税」という税金が課せられます。この税金は、以下の計算式をもとに算出されます。

●【計算式】課税される利益 = 売却額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除
●【納税額】譲渡所得税額 = 課税される利益 × 税率

■所有期間で「税率」がガラリと変わる
この譲渡所得税の最大のポイントは、その借地権を「何年間持っていたか(所有期間)」によって税率が2倍近く変わるという点です。法律では以下のように明確に区別されています。

●5年を超えて所有している場合(長期譲渡所得):税率 20.315%
●5年以下しか所有していない場合(短期譲渡所得):税率 39.63%

【具体的な税額の計算例】
たとえば、以下のような条件で借地権を売却できたケースを想定してみましょう。

●借地権の売却額:2,000万円
●取得費と譲渡費用の合計:800万円
●特別控除:なし

この1,200万円の利益に対して、所有期間ごとにどれくらいの税金(概算)がかかるかを比較します。

●【5年超(長期)の場合】:約244万円 の税額 (計算:1,200万円 × 20.315%)
●【5年以下(短期)の場合】:約476万円 の税額 (計算:1,200万円 × 39.63%)

*参考:「土地や建物を売ったとき」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm

このように、売却するタイミングが「5年以下」か「5年超」かによって、国に納める税金に200万円以上の差が生まれることになります。そのため、売却の手続きをいつ進めるべきかは、時期を見極めて慎重に判断しなければなりません。

(※その他の費用である「印紙税」や「譲渡承諾料」の詳しい中身については、また次回の記事で詳しく解説します。)

★ 当協会から宗教者様へのアドバイス
 「大昔からある教会だから所有期間は5年を余裕で超えているはず」という場合でも、宗教法人特有の事情を加味すべきケースがあります。

「うちの法人の場合、税金はどれくらいになりそう?」「できるだけ手元に資金を残して次の活動に活かしたい」という宗教者様は、ご自身だけで判断して進めてしまう前に、まずは宗教法人の実務に詳しい当協会へ一度ご相談ください。専門家が最適なアドバイスをいたします。(相談無料)

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