知らないとマズい「所有者不明土地管理制度」③

本日も知らないとマズい「所有者不明土地管理制度」について、ご説明します。今日は「管理人の権限について」についてご解説します。

<所有者不明土地:管理人の権限について>

所有者が不明の土地管理人は、何を行いって、どんな権限を持つのでしょうか?3つに分けて説明します。

・管理範囲と権限

管理人の権限は、対象土地と、その土地の上にある動産(*所有者がその土地に対して所有権を持つものに限る)に及んできます。 さらに、所有者不明土地管理人は以下の行為が可能です。

・ 土地の性質を変えない範囲での利用と改良目的とする行為

・ 保存行為

ただし、上記2点の行為を行う時は、裁判所の許諾が必要です。(例)不動産に関する訴訟の提起、不動産売却、債務の弁済等は、裁判所の許諾がなければ行うことができません。

遺産分割に関する制約

所有者不明土地管理人が遺産分割協議の当事者となることはできない点にも注意が必要になります。

参考までに例えとして。ある土地の所有者が亡くなり、相続人としてA、B、Cの3名が共同相続人となった場合を考えてみましょう。

もしCの所在が不明で、Cの持分である3分の1を所有者不明土地管理人が管理するよう選任された場合でも、その管理人がAおよびBと遺産分割協議を行うことはできません。なぜなら、管理人の権限が相続人としての地位に由来しないためです。

ただ、Cが行方不明で不在者財産管理制度を利用する場合は、裁判所の許諾を受けることで遺産分割協議が可能となります。

・専属性

所有者不明土地管理人が選任されると、対象となる土地の管理・処分権は民法第264条の3第1項により、管理人に専属します。

そのため、土地の所有者が存在していても、管理人が選任された土地に関する管理・処分権は管理人に与えられます。

例えば、①行方不明とされている元の所有者による土地の売却と②管理人による土地の売却が同時に行われたると、優先されるのはなんと②の管理人による売却です。

これにより、管理人やその管理のもとで不動産を購入する人は、取引を安心して行うことができます。

* 続きはまた次回 *

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